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青森県立美術館<青森コンプレックス> [アート]

その他、平成18年度の常設展示として青森県ゆかりの美術家の作品がたくさん展示してあった。
棟方志功も、寺山修司も青森県出身なのである。(美術家じゃないけど太宰治も青森出身)
10数人の芸術家たちの作品が個室にわけて展示されていたのだが、なにせ時間がなかったのでほとんど早足で通り過ぎることに。
ああ阿部先生、志功先生、その他たくさんの巨匠達ごめんなさい。

でも初期ウルトラシリーズの美術監督、成田亨の部屋は素通りできなかった。
暗めの個室には怪獣のデザイン画が何十枚も飾られている。
水彩でていねいに描かれたそれらはまごうことなきアートである。
ゴドラ、メトロン、メフィラス、ワイアール、バドetc、宇宙にはいろんな星があるのね。
ダンナと一枚一枚をつぶさに見て盛り上がった。

途中の細い通路に、さりげなく白黒写真の列があった。
戦争写真家の澤田教一。
ピューリッツア賞をとった「安全への逃避」は、新聞でみたことがあった。うう、やっぱ迫力がある。
泥まみれの死、敵をつれて、タバコを吸う兵士。
悲惨の数々、それらが漂白されて白黒の写真になっていた。

それから工藤哲巳。
すでに故人だが、「反芸術運動」の旗手で「インポ哲学」を打ちたてた人らしい、ってどーゆー人じゃい。
オブジェの数々はまったく正体不明、でもどこかぬくもりがある。
1950年代からこんな妙ちきりんなもの作ってたのかー、すごいな!
「養殖・郷愁病用・あなたの居間に」とか「あなたの肖像1970-1974」とか、もう生理的に嫌!(笑)なんだけどポップであるという絶妙さ。

寺山修司のコーナーも展示が凝ってておもしろかった。
天井桟敷などのポスターをながめつつ、60年、70年前半は社会の良識とか規範とかいったものがいまよりも確固としてあったから、それに対抗するこういったエログロ的なものがアバンギャルドとして存在を示せたのかもな、などと評論家みたいなことを思ってみる。
当時よりいまのほうが「主流」という明確な対立軸を見出すことが困難だろう。
悩める若者達は振り上げた拳をどこへ下ろすのだろうのか。
(悩まない怒らないほうへ流れつつあるという見方も)

そしてそして奈良良智!
もうここに来た時点で残り時間はあと5分。ニューソウルハウスは外からみました。(泣)
ここにある90年代の奈良さんの作品は不安な感じが強いよなー。
かわいらしさと不気味さと、ぎりぎりの綱渡り。
外を見ればガラス窓の向こうには「あおもり犬」、高さ8.5mの巨大な犬がのっそりとおりました。
でかー。

「あおもり犬」にしろ、「アレコ」にしろ、この美術館では大きさを感じました。
巨大な実物を前にしたその迫力たるや。なんか本能的に震えるというか。
しかもこれだけ大きいと、どんなに気に入ったとしても複製にして自宅に持ち帰るなんて不可能だから、もう必死でその作品を感じとろうとするわけで。
テクノロジーがどんどん軽く薄く小さくを目指すなか、逆に大きいってすごいことなんだと思いました。

で、このあとAtoZ展への直行バスに乗るためダッシュで館外へ。
バスの時間には間に合ったがなんと!満員で乗れない!
仕方ないので青森駅にでて、電車で弘前に行くことにした。
時間はちょっとロスしちゃったけど、青森駅前にバイクを置いたダンナと一緒に電車のなかでビール飲めたから結果オーライかな。

あ!つーか、どうせバスに乗れないんだったら、もう一回美術館に戻ってショップでお土産買いたかった!
あるのかわからないけど、奈良さんのグッズとかシャガール展のパンフとか、激しく欲しかったな。
あとになって後悔がつのるほど面白かったです。
期待以上でしたね。今後ちょっと美術館にはまりそうな予感。(行ければだけどさー)


青森県立美術館<シャガール 「アレコ」とアメリカ亡命時代> [アート]

AtoZ展に行った9月22日の午前中は、青森県美術館にも立ち寄った。
今年7月にオープンしたばかりの純白でモダンな美術館である。
バスの都合上、館内には1時間しか滞在できないのを承知で、まあ軽く見ておこうぐらいの気持ちだったのだが、これが大誤算!
みどころいっぱいでとても時間が足りない。
ミュージアムショップにも寄れなかった。
ああもう残念無念。

このときは美術館オープン記念としてシャガール展が開催されていた。
目玉は、巨大な4枚の背景画である。
この背景画はアレコというバレエ劇のために、1942年シャガール自らの手で描かれた。
通常この美術館では3枚を収蔵しているが、今回の展覧会のために海外から残る1枚を借りてきたとか。
この絵を4枚ぜんぶ揃えて美術館で展示するのは初めてなんだそうな。

ここにはそのアレコの背景画を飾る専用の部屋があって、地下二階のそこ(アレコホール)は天井が高く、薄暗い。
ホールに足を踏み入れると、四方の壁に張られた9mx15mの巨大な絵がせまってくるような迫力がある。
息をすると絵の具の匂いがしそうだ。(しないけど)
いやほんと大きい。どうやって描いたんだろう。
4幕の絵の大きなうねりとか、あれどんだけ大きなハケ(?)つかったんだろう。
絵の脇で解説されている、バレエのストーリーを読んでから見るとさらに面白い。
私は特に3幕の絵が気に入った。
黄色い灼熱の画面に、目に痛いほど赤い太陽がふたつ。新しい恋人達が情熱に燃えるさまが浮かび上がる。
しかし画面右には葦の群れに隠れてひとりひっそりとボートを漕ぐ主人公・アレコの姿がある。
川べりの草むらには、今後の悲劇を予兆するかのように草刈りガマが不気味に光り、トカゲが顔を出す。そんな絵である。
ほんと、すごいものを見てしまいました。

そのほかにもシャガールのアメリカ亡命時代を中心としたたくさんの絵画がある。
印象に残ったのは「天使の墜落」、なんと20年以上もかけて構想が練り直され完成した作品である。
真っ赤な天使の片目だけが白く大きく見開かれている。
混迷のなかに鋭く光るその瞳。怖いけど目が離せない。
それから「夢」、左のほうにぽつんと暗く一人の男が座っている。
その男の頭の中をあらわすかのように、残りの画面を美しい花嫁や楽器や様々なものが空を舞う。
それらはもう失ってしまったものなのか。この時期シャガールの最初の妻が死んでいる。悲しい。
「ハイ・フォールズ」、新しい家族を得て幸せなラフスケッチ。
その近くに陳列してあった家族宛の手紙にも泣けた。よかったねぇ。

シャガールの絵は、幸せいっぱいなはずな場面でも、顔は青かったり緑だったりと一筋縄ではない。
とは一緒に行ったダンナ。

「私の国」はシャガールが作った詩。
宗教的なニュアンスも多分に含んでいるので、その部分ちゃんと理解できたとは思わないけど、強く心に残った。
たしか、私の頭の中に国があって、一度崩れてしまったけれど、人は残っていて、いつでも会いにいける。
その国はいつでも変わらない。私の魂の中にある国だけが、私の国。みたいな内容だった。
ユダヤ人である彼が戦禍のなか世界を放浪した過去を思い、ぐっときた。


YOSHITOMO NARA+graf AtoZ [アート]

今年の夏から秋にかけて青森県弘前市で開催されている、奈良美智の展覧会に行って来ました。
http://a-to-z.heteml.jp/modules/news/

奈良美智の存在を知ったのは2,3年前からで、以来たまにTシャツなど軽いグッズを買ったりしていた。
で、今年8月、朝日新聞にこの展覧会のことが載っていて、その記事を読んで「これは絶対行かねばならぬ」と思ってしまった。
私が住んでいる千葉県から、青森県は決して近い場所ではない。でも、これを見逃したらすごく後悔すると思ったのだ。
なのでなんとか機会をうかがって(両親に子守を頼みこんで)、去る9月22日に青森空港に降り立つことができた。
二人の子供を預けて外泊するのは初めてである。しかもそこは未踏の地、青森。
はーるばる来たぜあおもり~。朝の9時で風がちょっと肌寒いが興奮しているせいか気にならない。

このAtoZ展は企画・運営からすべてボランティアスタッフが行っている。
会場の準備も、制作集団grafや奈良美智の指揮のもと、ボランティアがペンキ塗りや小屋造りなどの作業をしたそうだ。
展覧会場は個人所有の倉庫を借用している。大正時代からあるそのレンガ倉庫では、以前りんご酒を造っていた。
レトロなレンガ倉庫、そのなかにアート作品を格納した小屋が40数個も造られて、さながら街のようになっている。
と、新聞記事には書いてあった。
これは、あとになって画集だけをみて満足できるだろうか。自分の足で歩いてみないとわからないものがたくさんある気がする・・・。
加えて、この展覧会は奈良美智のいままでの活動の集大成となるもので、彼のふるさと、弘前のレンガ倉庫で展示を行うのもこれで最後だと。
もうこれは行くしかないでしょう。

午前中は青森県立美術館に行ったあと、AtoZ展会場の吉井酒造倉庫についたのは14時ぐらいだった。
レンガの壁に大きな垂れ幕が目をひく。ああ、ついに来たんだなぁ。
サーフィンドッグにも遠慮なくまたがらせてもらう。たのしいー。

会場の中に入る、薄暗い空間に立ち並ぶ小屋の数々。
いちおうAからZまで小屋に名前がついているが、特に決まった順路はないようで、好きな場所を何度も行ったり来たりできる。
二階建ての小屋もある。ベランダのようなところから街を眺めると、大きな看板が目に入り、その下をゆっくり行きかう人々が見える。
ディズニーランドのような擬似的な街を、もっと暗くしてちっちゃくした感じかな。でも、廃材を使って建てているせいか、どこかとぼけた雰囲気がある。
木造の小屋は歩くとぎしぎしするし、ペンキの塗りあとや釘がめりこんだのも見える。これはこれで手造り感があって心地いい。

小屋で気に入ったのは
・I ミサワ小屋
 やはりキリンの仕掛けが。2階からの眺めもいいし。
・P パーティルーム
 いちどこういう部屋でクリスマスを過ごしてみたい、10人ぐらい集めてさ。
 気分は欧米人(勝手なイメージ)。
・Q 星の部屋
 子供のころ宇宙ってこんなふうだと思ってた。手を伸ばせばお星様がつかめる、いくつもいくつも。
 監視の人がいなければもっとひたれたかな。
・T レコードルーム
 私が持ってるのもいくつかあってうれしかった。
 でも知らないもののほうが圧倒的に多い。リストが欲しい。
・2階の第一研究室
  仲間っていいな。

絵や造形で気に入ったのは
・Forever Alone
 水に沈んだ少女の顔の絵。
 もう鼻まで水の中に入ってしまい、目だけがとろんとうつろに惑う。
 寂しい絵だけど、不思議な愛らしさも感じる。
 なにもかもから逃げたくて、いっそなにかに溶けてしまいたくなる気持ち、昔あったな。
・もりおかわんこ
 あおもり犬にはない、つぶらな目に惚れた。
・Puff Marshie
  娘に似てる気がした。
 (これを見て「身内に似てる」と思う人はけっこう多いらしい。自分の孫とか)
・ぬいぐるみがぎゅうぎゅうにつまった文字
 これは何箇所かにあった。
 かわいらしいものいっぱい詰め込んじゃえーって、愛情行き過ぎてぬいぐるみ押しつぶされちゃう、みたいな。

難を言うと、現場にちょっとした解説が欲しかった。
見た限り、小屋にアルファベットの小さい板が張ってあるだけで、そのなかの作品に作者・題名・製作年とかは明記されていない。
そういったことは入り口で配られるパンフに書いてあるけど、薄暗い中でいちいち紙に目を落とすのもなかなかめんどい。
膨大な作品数だから仕方ないのかな。まあ、ふらーっと見てるだけでも十分楽しめるけど。
そういう意味ではポッドキャストは必聴。ダンナにipod借りて私は聴いてから行ったけど、当日持って行かなかったのでダンナはポッドキャスト聴けなかった。ごめんよ。
そうそう、ダンナはこの展示会で「水を感じた」と言ってました。八角堂とか2階とか。

全体通して、本当に面白かったです。
実際歩いてみないとわからない感触がつかめたと思う。行ってよかった!
あとになっていろいろ隠し部屋や隠し作品があることを知った。むきー。
もう一度行きたいけど無理だ。(もうあと3日で会期終了だし)

会場にいたボランティアさんも、みんなとても感じよかったです。
ちゃんと接客の姿勢をとってました。無償労働なのに。素晴らしい。

久しぶりにいい体験しました。
この展覧会がなければ、青森を訪れることはなかった。
そして、来てみて本当によかったと思う。
奈良さん、grafさん、ボランティアさんたちに御礼を言いたいです。ありがとう。


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